「プリン体ゼロ」や「プリン体カット」など、プリン体を減らした飲料や食品を目にすることが多くなってきています。
その体に良さそうな響きから、プリン体が体に悪いもののように聞こえてしまいますが、プリン体がどのようなものかご存じない人も多いのではないでしょうか。
プリン体の摂り過ぎは、確かに体に悪影響を及ぼす可能性がありますが、プリン体そのものが体に悪いものというわけではありません。
ここでは、プリン体とは何なのか、摂取することによる体への影響などをご説明していきます。
プリン体とは何か
プリン体とは、プリン骨格を持つ物質のことを指し、プリン塩基、プリンヌクレオシド、プリンヌクレオチド、核酸などに含まれます。
食品でいうと、肉、魚、野菜、穀物などに含まれていて、旨味の成分でもあるため、美味しいものに多く含まれているとも言えます。
また、食べ物から摂取するとともに、体内でも生成されていて、プリン体の80~90%は体内で生成されるものとなります。
プリン体は尿酸の原料ともなっていて、体内で代謝されて尿酸になります。
この尿酸が体内に増えすぎると痛風の原因となるため、プリン体の摂取が悪いように見えますが、プリン体は細胞の代謝やエネルギーの伝達に必要なので、体に必要不可欠な物質でもあります。
プリン体を摂り過ぎるとどうなるか
前述の通り、プリン体は尿酸の原料となります。
尿酸は人体は不要な成分なので、通常は尿として排出されますが、尿酸が過剰になると排出しきれず、体内に蓄積してしまい「高尿酸血症」となります。
高尿酸血症の状態が続くと、体内に蓄積された尿酸が結晶化して関節に沈着して、炎症を引き起こしてしまいます。
これが、風が吹くだけでも痛いと言われる「痛風」です。
つまり、プリン体を摂取しすぎると痛風になってしまう可能性があるということです。
プリン体は必要ないのか
では、プリン体は体に必要ないものなのでしょうか。
人の体は、一定の周期で皮膚や内臓の細胞が生まれ変わります。
その細胞の生まれ変わり、細胞の代謝のためにプリン体が使われます。
また、人が体を動かすにはエネルギーを体に運ぶ必要がありますが、プリン体はエネルギーを運ぶことにも使われます。
このように、プリン体は摂取のし過ぎは害になりますが、体の維持や活動においては必要不可欠なものでもあります。
プリン体の1日の摂取量
人の体には、常に1200mgの尿酸が蓄積されています。
この値が人体にとっての正常となっており、1500mgを超えると痛風になる可能性が高くなってしまいます。
尿酸は1日に約700mgが対外へ排出されますが、尿酸の原料となるプリン体は体内でも生成されますので、その分を考えると、1日に食品から摂取してよいプリン体の摂取量は400mg程度となります。
プリン体の多い食品・少ない食品
プリン体が多いか少ないかは、食品の100gあたりに含まれるプリン体の量で判断され、食品100gあたりにつき、
300mg以上・・・極めて多い
200~300mg・・・多い
50~100mg・・・少ない
50mg以下 ・・・極めて少ない
と分類されます。
一般的に、乾燥させて細胞が凝縮している乾物や、細胞数が多い動物の内臓などに多く含まれます。
プリン体の含有量が100gあたり300mgを超える食品は、鳥のレバー、白子、アンコウの肝、イワシの干物、鰹節、干しシイタケなどがあります。
次に100gあたり200~300mgの食品は、豚レバー、牛レバー、サンマの干物、カツオ、イワシなどです。
そして、100gあたり100mg以下のプリン体含有量の少ない食品は、うなぎ、魚肉ソーセージ、牛乳、乳製品、卵、果物などがあります。
ちなみにプリン体の多いイメージのあるイクラや明太子、たらこなどの魚卵は意外にもプリン体の量はそこまで多くありません。
また、アルコール類だとビールや発泡酒、日本酒に多く、ワインや焼酎には微量しか含まれていません。
お酒をよく飲む人は、ビールよりもチューハイ、日本酒よりもワインなど、プリン体の含有量が少ないものを飲むとよいでしょう。
ただし、プリン体が多くなくてもアルコールの作用で尿酸値が上がりやすくなるので、毎日飲む人は注意が必要です。
尿酸値を下げる食品
プリン体が少ない食品の他に、尿酸値を下げる食品もあります。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌、コーヒーに含まれるポリフェノール、野菜や果物に含まれるビタミンCや食物繊維などが尿酸値を下げる効果が期待できます。
そして、これらが含まれている食品にはプリン体の含有量が少ないものも多いため、プリン体が気になる人は意識して食べるようにしましょう。
プリン体って何?プリン体の影響と含有量の多い食品!【まとめ】
プリン体は、それ自体は体に必要なものですが、摂取し過ぎると痛風になってしまいます。
そして、プリン体は体内でも生成されるため、食品から摂り過ぎないように注意する必要があります。
しかし、プリン体の含有量が多いものばかり食べるということもそんなにないはずなので、特に気を付けるべきはアルコールの摂り過ぎではないでしょうか。
摂取し過ぎなければ問題ありませんので、食べ過ぎ飲み過ぎに注意して健康な生活を送りましょう。